ライブハウスと小島秀夫監督とお願い

小島秀夫とは、コジマプロダクションの代表でもあり、世界的に有名なゲームクリエイターの一人である。僕が小島監督を認識したのは今から10年前くらいのことだ。

当時ハマっていたゲームの制作者であり、そのゲーム関連のネットラジオ小島監督が出演。そのゲーム性からも想像できる通りとてもユーモアのある方で、『大人っぽい子供』のような印象を受けたのを今でも覚えている。

小島監督は映画や小説が好きで、今でも毎日一本はかかさず映画を観て、時間があればすぐ本屋さんに足を運ぶのだという。

そんな彼も実は本を出しており「僕が愛したMEMEたち」というタイトルなのだが、このMEME(ミームと読む)という考え方に感銘を受けたので紹介したい。

 

MEMEとは一般的にはインターネット・ミームとして知られるスラングの一つなのだが、インターネットを通じて人から人に模倣され広がっていく様のことを指す。昔に流行したアイスバケツチャレンジなんてのもインターネットミームの一つと言えばわかりやすいだろう。

 

ただもっと学術的な部分で言うとMEMEとは、人の脳内に保存され、他の人の脳に複製可能な情報のことである。それは例えば本であり、音楽であり、部族のしきたりや、家庭での慣習のようなものだったりする。

人が生まれ育つ中で大人が子供たちに伝えられるものは、一つは遺伝情報(GENE)であり、もう一つがこのMEMEなのである。

小島監督の愛したMEMEをまとめたエッセイ本が「僕が愛したMEMEたち」なのだが、皆さんはどんなMEMEをお持ちですか?

 

音楽とは芸術であり、それはある意味小説や映画のようにフィクションとノンフィクションの間を行ったり来たりするものである。愛や平和の溢れる世の中ではないけれど、歌の中ではそれを実現させることができるし、戦争や貧困で苦しむ人々がそれをありのまま労働歌として歌ったりもできる。そうやって音楽は過去から今へと繋がっているわけですし、その繋がりはきっと途絶えることはないと思います。

もちろん僕が知らない曲だって数え切れないほど多く存在し、過去に生まれた作品でも現代では姿形がなくなってしまっているのかもしれない。

だがバンドマンたちにとっては自分たちの曲っていうのは、我が子のように大切なものなはず。ものすごく秀才な子もいれば、不出来な子だっているかもしれないが、それでも世の中に何一つ魅力のない子なんて一人もいないように、その曲にだって生まれた意味があるはずです。バンドマンにとって一番やるべきことはそれぞれの楽曲に込められたMEMEを伝えること、ただ一つなんじゃないかなって思ってます。

そして普段からライブハウスに来てくれているお客さんも、どうかそんなライブハウスバンドたちのMEMEを周りに伝えていっていただきたい。文化とは繋がりであり、あなた方が愛したもの、好きだと思うものが繋がっていって初めて一つのシーンというものが生まれます。SNSの流行によりあたかも「繋がっている」と錯覚をしてしまう世の中ですが、もしかしたらその人は分断されたままであり孤独なのかもしれません。

音楽の繋がりっていうのはまさに今、分断されようとしています。

危機に瀕していると言っても良いでしょう。

かの有名な富豪ビルゲイツ氏が今から5年前に語ったように、人類にとっての脅威というのはもはやリトルボーイのような核兵器ではなく、たった数ナノメートルほどのウイルスなのだ。

免疫という課題が出た以上、昔のようにライブハウスに集まって語り合うというのができるまでに一体どれほどの時間が必要なのか。ある意味政府の対応というのは各ライブハウス側からしたら死刑宣告のようなものに見えるだろう。

もちろん、ライブハウスを愛する人々にとってもだ。

あるライブハウスでは閉店のアナウンスをしたのち、電話で泣きながら抗議してくるお客さんがいたという話があるが、なんとも言えない感情が込み上げてくる。

今はそんなライブハウスという文化が断ち切られないように各アーティストたちやライブハウス関係者たちがネットを通じて配信やチャリティーを行ったりしている。

ですがこのままでは本当にライブハウスというMEMEはなくなってしまいます。

今、行動を起こさないとライブハウスから発信される文化は本当に断ち切られてしまうでしょう。

音楽の繋がりを作り続けるのは他の誰でもないあなた方一人一人です。

明日の未来は皆さんの手の中にあるのだから。